「きったねぇ子猫だな。」
私は少しだけしゃがんで顔を覗きました。そしてそのまま公園の中にある階段へ向かって歩きました。
公園の入り口付近にいたその子猫は、目はヤニだらけで閉じ、顔の皮膚はただれ、毛は抜け、よろよろとやっと立っているようでした。
「猫なんて知ったこっちゃない。」
私はそう思いながら階段で休もうと腰を下ろしました。
「 ミャ …ミャ ミャー ミャー」
後ろのほうで猫がうるさい。
なんとなく声が大きくなっているなと思いながら、私は声のする方を振り向きました。そこにはろくに開かない目でよろよろと一歩ずつ私に近づいてくるあの子猫がいました。どうせ途中でどこかに行くだろうと思いながら私はまた元の向きに戻りました。
声はまっすぐにどんどん大きくなり、ついに私の真横に辿り着きました。
「この猫、どうするつもりだろう。」
そう思っていると私の太ももに前足を掛けました。よろよろともう片方の足を掛け、ついには私の膝の上に完全に乗り上げ、落ち着きました。
私はただただ驚いて、どうしたものかと困りました。
しばらく、膝の上で静かに座る汚れた子猫を見ながら呆然としていました。
2021年6月11日。とても天気の良い昼下がりの出来事でした。